指や手のむくみの原因と解消法

指や手のむくみのメカニズム

人の体内を巡る血管からは、血液の液体成分である血しょうが染み出しています。これは動脈によって運ばれた酸素や栄養素を細胞に届け、細胞から排出された二酸化炭素や不要物を静脈に運ぶためです。しかし何らかの原因で血管から染み出す水分の量が多くなると、皮膚や皮下組織に多く水分が溜まってしまうことがあります。この状態がむくみ(浮腫)になります。

そしてこの症状は、身体の末端である指・手・足に特に現れやすいです。
その理由としては大きく2つ挙げられます。
一つ目は心臓から離れていることです。
血流は心臓がポンプの役割をすることによって循環しています。しかしポンプは長い距離を循環させようとすればするほど、それだけ距離が長くなるため力を必要とします。指・手・足は心臓から離れているため、循環が悪くなりやすいのです。

そして二つ目の理由として挙げられるのが、重力です。
心臓より下の部分にある場合、重力の影響を受けます。血流を重力に逆らって上に上げる為にはそれなりに力が必要になるため、血流も悪化しやすいのです。

手や指がむくみやすい時間帯・その原因

日中手や指がむくんでいる場合は、手や指が心臓の下にあり、長時間同じ姿勢の時に起こりやすいです。長時間同じ姿勢を続けていると、血流が滞りやすくなります。すると余分な水分が溜まりやすくなります。特に夕方以降はむくみやすいです。

一方、夕方だけでなく、朝起きた時に現れることもあります。
日中は重力の影響で、余分な水分は心臓より下の方に行く傾向があります。しかし就寝時など身体を横にしている間は、足・手・顔・心臓などがほぼ同じ高さになっています。また、重力も全身にほぼ均等にかかるようになります。
するとこれまで心臓より下の部分に溜まっていた水分が、顔や手にも行くようになります。朝起きた時はまだ水分が身体の末端部分に残っている状態であるため、手や指にむくみが現れるのです。

なお、むくみの原因にはアルコールも挙げられます。
アルコールには血管内の水分を染み出しやすくする性質があります。そのため、夜お酒を飲みすぎてしまうと、翌朝むくみが現れるようになってしまいます。

また、季節でいうと冬よりも夏に起こりやすいです。
というのも、夏では体内の熱を逃がすために血管が拡張します。そのため血管内を流れる血液の量も増えます。
また夏になると水分や塩分の摂取量が多くなります。しかし摂取する水分の量が増える一方で、汗の量が少ない等で体外に水分が排出される量が少ないと、それだけ体内に溜まる可能性が高くなります。
一方、体内の水分量が少なすぎると、今度は血流が悪くなってしまいます。
特に静脈の流れが悪くなると、動脈から染み出した水分を静脈が回収できず、皮膚や皮下組織に溜まってしまうことになります。そのため夏場は特に注意が必要となります。

手のむくみが出る病気

比較的健康な方の場合、時間帯や姿勢によって身体の末端にむくみが現れます。
そしてこの場合、しばらくすると改善することがほとんどです。
しかしむくみは何らかの病気によって起こる場合もあります。

手や指のむくみが出る病気としてまず挙げられるのが、急性糸球体腎炎・腎硬化症・ネフローゼ症候群といった腎臓の病です。
腎臓にはろ過作用があり、タンパク質等身体に必要な成分は残す一方で、老廃物や余分な水分は尿として排出します。
しかし腎臓に異常が生じると、ろ過がしっかりと行われなくなり、尿と一緒にタンパク質も排出されるようになってしまいます。
体内のタンパク質が多く排出されると、浸透圧も変化し、血しょうがより多く染み出すようになってしまいます。

次に挙げられるのが、動脈硬化です。
血管が硬くなると、それだけ血流も悪くなります。
血流が悪くなると老廃物などが溜まりやすくなるため、むくみも起こりやすくなります。また、動脈硬化は腎臓や心臓にも負担をかけることになります。

心臓に負担がかかり、働きが弱くなると血流はさらに悪くなります。すると身体の末端まで十分に血液が回らなくなり、余分な水分が溜まりやすくなってしまいます。
なお、心臓や腎臓に問題がある場合、手に限らず全身に症状が現れます。この場合はできるだけ早く医師に相談するようにしましょう。

また、女性に多いものとして挙げられるのが、更年期障害です。
更年期障害は女性ホルモンの分泌量が急激に減ることにより、自律神経のバランスが崩れることによって症状が現れます。
自律神経は血管の拡張・収縮にも働いています。自律神経が乱れることで血流も乱れ、むくみにつながるのです。
なお、甲状腺に異常が生じた場合も自律神経が乱れやすくなり、同様の症状が現れます。

また、妊娠中の女性でむくみ・高血圧・タンパク尿が見られた場合は妊娠高血圧症候群が疑われます。
この病気は高齢出産になるほど発症率が高く、胎児の脳出血などにつながる恐れがあります。

なお、むくみは血管の異常だけでなく、リンパ管の異常によっても起こります。
リンパ管の数が少なかったり、流れが悪くなるとリンパ管からリンパ液が染み出してきます。すると血管の場合と同様のことが起こります。
がん治療でリンパ管を切除したり、放射線治療によってリンパ液の流れが変化した場合が多いです。

手のむくみの解消法

手のむくみを解消するために大切なのが、血流を良くすることです。
マッサージをしたり、握るなどして手と指を動かしていきます。また、手と指が心臓より下の位置にあると、重力の影響によりむくみやすくなります。そのため手を肩より上に上げ、大きく伸びをするのもおすすめです。

また、ツボを押すのもおすすめの方法となります。
ツボを刺激することで臓器や血管の働きを促進し、改善につなげることが期待できます。
特におすすめしたいツボは以下の通りになります。

湧泉(ゆうせん)

足の裏の中央よりやや上の部分、足の指を曲げた時にへこむ部分にあります。この部分は腎臓と膀胱の機能を高める効果が期待できるため、排尿を促すことができます。
押し方としては、両方の親指を重ねて押しもみます。なお、両手の中指でツボを押さえながら膝の曲げ伸ばしを行うと、より力が加わりやすくなります。

合谷(ごうこく)

手の人差し指の骨と親指の骨の交差した部分よりやや上、痛みを感じる部分が合谷になります。
このツボは別名「万能のツボ」とも呼ばれており、頭痛・歯痛・肩こり・ストレスなどに効果があるとされています。
というのも、合谷は脳に最も刺激が伝わりやすいツボともいわれており、右手の合谷を押すと左脳の血流が、左手の合谷を押すと右脳の血流が良くなります。
また、左手は膀胱機能、右手は副腎機能にも影響があるとされています。
このツボを押す際は、反対の手の親指と人差し指でツボを挟み、1回3秒以上力を加えます。

壇中(だんちゅう)

胸の中央、第四肋骨の高さで胸骨上にあるツボが壇中です。
壇中は「気の病」に働きかけるツボで、ストレス・精神疲労の解消の他、自律神経を整えたりホルモンバランスを調整する効果も期待できます。
また心臓に近い部分でもあるため、胸の痛みや息苦しさにも効果が期待できます。このツボを押す際は、まず息を吐きながら指の腹で約3秒間押していきます。その後、息を吸いながら3秒間指を離します。この動作を10~15回繰り返していきます。

なお、血流は身体が温まると促進されます。
そのためお風呂につかりながらマッサージやツボ押しを行うと、より高い効果が期待できます。

そしてむくみを改善するために重要なのが、根本となる原因を取り除くことです。
体内の水分量が多すぎるのが原因のことが多いため、水分の過剰摂取には気をつけましょう。
一度に水分を摂取してしまうと排出されにくいため、こまめに分けて摂取するようにしましょう。
また夜寝る前は水分・アルコールはできるだけ控えるようにしましょう。