腎臓とむくみの関係

腎臓の仕組みと働き

腎臓は腹部の少し上のあたりに位置し、背中側にある臓器となります。
腎臓の外側を被膜といい、内側に腎実質があります。
内側は毛細血管がかたまりのように集まっていて、そこで血液のろ過という大変重要な役割を担います。

私たちの体は、血液を全身に循環させることによって、酸素や必要な栄養素を各臓器や器官の細胞に届けています。これが正常に行われてこそ、エネルギーが供給されて生命の維持ができ、活動が可能になるというわけです。

このとき、細胞レベルでは吸収し終えた栄養素の残骸が出てきます。
同時に新陳代謝も行っているので、これによって生じた老廃物など、体内に不要な成分も血液中に排出されます。

この不要なものを尿や便にして排泄するために腎臓が働きます。
単純な働きのようにも思えますが、体に必要な物質というのはそのときの体調や栄養素によって異なります。
それを選別していかなければなりませんので、複雑な機能が必要となるわけです。
この役割を担うのが腎臓の中にある糸球体です。
血液が糸球体に流れ込むと、ここでほとんどの物質が一斉にろ過されます。
その後に、尿細管にて水分や糖分、アミノ酸といった、体に必要なものは再吸収されるような仕組みになっています。

そして老廃物はそのまま尿となって排泄されます。
ろ過された上で不要なものが体外に出ていき、綺麗な血液だけが残ると、それが腎静脈を経由して心臓へ戻っていきます。

腎臓は老廃物を捨て去るという意味ではフィルターのような役目をもっていると考えると分かりやすいでしょう。

血液をろ過した際に出てくる尿の元となるのが「原水」です。
原水には多種類の成分が含まれています。
水分とナトリウムやカリウムなどの電解質、そしてブドウ糖やたんぱく質も含まれています。
原水と尿が分けて考えられるのは、排泄の過程で必要なものだけが再吸収されるからです。たとえばナトリウムは再吸収されますが、カリウムは尿細管細胞から排泄されます。このような細かな選別が腎臓の大きな役割といえます。

腎臓疾患からむくむメカニズム

腎臓に疾患を抱えると、身体にむくみが出てくることがあります。
腎臓は体内の水分やナトリウムの量を調整しているのですが、疾患によってコントロールがうまくできなくなった時に、余分な水分が体内にたまってしまうからです。

一番むくみが出やすい箇所は顔や足といわれています。
とくに朝方、起床直後にまぶたが腫れぼったくなっていたり、目の周囲が腫れているように見えた場合は腎臓疾患の疑いがあります。

足にむくみが出る場合は甲に異常がある場合があります。
いつもより膨らんで見えた場合、指でその部分を押してみましょう。くぼんだままなかなか戻らない場合は腎臓疾患によるむくみの可能性が高いです。このようなむくみの症状が出るメカニズムには、血液中のたんぱく質が深く影響しています。

血管はたんぱく質を使って必要な水分を血管外から引き込む作用があります。腎臓疾患になると、血液中のたんぱく質が尿中に出て失われてしまいます。
そうすると、血管外の水分を引き込むことができなくなってしまいます。同時に、血液中の水分が血管外に漏れてしまう場合があります。
本来水分がたまらない場所に漏れ出てしまうので、その箇所の身体の部分がむくみとなってしまうわけです。

腎臓は昔から沈黙の臓器といわれるほど、症状が出ないことで有名でした。
治らないむくみが出てしまった場合は重大な疾患に陥ってる可能性もあります。早急な治療が必要となりますので、すぐに医師に相談しましょう。

腎臓病の種類

腎臓病はいくつかの種類に分けられています。
まずタイプを大きく分けると、慢性タイプと急性タイプがあります。

慢性腎臓病の場合、病気の診断に3ヶ月以上かかることがあります。
沈黙の臓器といわれる腎臓は、容態がよほど悪化しない限り、症状が現れないことが多いです。
日常生活にも支障がないので、治療に真剣に向き合わない人もいます。
唯一疑いが持てるのが健康診断による尿検査です。
尿検査による異常が発見された場合は、それが慢性的なものかを判断するために一定の日数をあけての再検査となります。そこで再度異常が確認されたら慢性腎臓病と判断されます。

一方で、腎臓の働きが急激に低下してしまう急性腎臓障害というものがあります。何らかの障害によって、機能が著しく低下し、老廃物の排泄や、水分と電解質の調節、ホルモン分泌ができなくなる病気です。
急性の場合、放置しておくと最悪の場合死に至る可能性があるので、早急な治療が必要となります。

急性腎障害は、原因によってタイプが3つに分かれます。

腎臓そのものの働きは止まっていないのに、脱水や低血圧が原因で血流が不十分となり、機能ができなくなってしまうのが腎前性急性腎障害です。

次に、尿細管や糸球体、腎実質のいずれかの障害により、急激な機能障害が起こるのが腎性急性腎障害です。大部分が急性尿細管壊死による場合が多く、命を脅かすほどの大変おそろしい症状です。

最後に、尿路系に障害が発生し、尿が排出されなくなる腎後性急性腎障害という病気もあります。

これらの症状が出た場合は、緊急手術が行われた後に、長い時間をかけての治療が必要となります。
腎臓の障害は血液がろ過されないために、心臓に重篤な感染症を引き起こす可能性もあり、別の病に陥る場合があるからです。
そのため、残された腎臓の機能に負担をかけないような食事療法が取り入れられます。同時に、排泄行為を行うための利尿を促す薬などが投与されます。
たんぱく質や塩分、カリウム、そして水分までもが制限されるので、つらい食事療法となることは覚悟しておかなければなりません。

これでも症状が改善しない場合は、透析療法が採用されます。血液は全身に巡っていますので、腎臓病は多臓器不全を引き起こす可能性があります。よって、慎重な治療が必要というわけです。

むくみ以外に現れる症状は?

悪化の症状が現れにくい腎臓病ですが、早期発見ができるに越したことはありません。
むくみ以外の症状をいくつか紹介します。

腎臓の代表的な病気として結石の存在も忘れてはいけません。
腎臓結石があった場合、背中や脇腹に刺すような痛みを感じることがあります。通常の凝りや筋肉の張りとの感覚の違いは、叩いたときの痛みです。
ふだんは何ともないのに、背中や腰を叩いた時に痛みがある場合は腎盂腎炎や結石の疑いがあります。

次に皮膚に原因不明の水疱のようなできものがあらわれる場合があります。腎臓の疾患は血液中の毒素を取り除くことができなくなるので、それが全身を巡りアレルギー反応のようなかゆみを発症させたり、アトピーのような炎症を起こしたりします。
目の充血も腎臓病に代表される症状です。

重度の疾患の場合は息苦しさを感じさせる場合もあります。
大した運動をしていないのに、息が切れたような状態になり、汗がでてきます。
これは、毒素によって肺に酸素が正常に取り込めなくなっているからです。呼吸が困難になり、低酸素血症を招く恐れがあります。

その他、口臭がきつくなるという症状も腎臓病の疑いがあります。
この口臭のきつさは、単純にアルコールの臭いや食べたものによるものではありません。口臭スプレーや市販のブレスケアを口にしても一向に臭いが改善せず、アンモニアのような臭いが吐く息からします。これは毒素がろ過されずに全身をまわり始めているからと考えられます。

腎臓の疾患により尿毒症になると、さらなる麻痺やけいれん、昏睡などの重い症状を引き起こす場合があります。

血液に深くかかわる臓器ですので、影響を受けない器官はないと考えていたほうが賢明です。